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2023/12/26 不動産ニュース
都市計画審議会で可決
JR秋葉原駅前に、高さ約170メートルのビルを建設する再開発計画の調整が続いている。正式に決定すれば、「電気街」や「サブカルの街」という雰囲気が変わり、新しい街へと変貌する可能性もあるだろう。
再開発を推進する千代田区によると、第一種市街地再開発事業に必要な「全地権者のうち3分の2以上の同意」が得られる見通しだという。 報道によると地権者の数は35にのぼる。
今まで賛否を表明していなかった地権者が賛成に回ったことで、必要な同意が得られることになったという。これにより、今後、再開発組合の設立が可能となる。
今回は、議論を呼んでいるこの秋葉原の再開発について、その現状を紹介する。
再開発の対象となっているのは、JR秋葉原駅「電気街口改札」前の約1.9ヘクタールの土地だ。
秋葉原駅を出て西側にある、万世橋(まんせいばし)と昌平橋(しょうへいばし)に挟まれた区域だ。
駅前の目抜き通りとなる中央通り沿いには、ラオックス秋葉原本店、エディオンAKIBA、オノデンといった大型家電量販店のビルが建ち並んでいる。その周辺には、雑居ビルも点在している。
千代田区が作成した資料によると、秋葉原駅前の再開発区域内には以下のような課題があるという。
・神田川沿いの建物が壁となり、親水性や対岸との連携が不足
・狭い道路が多く、視認性・防災性に課題
・観光バスの路上停車による歩行者交通への影響
・招かざる業態や落書きなどによる治安風紀の悪化
・駐車スペース不足による、千代田清掃事務所前面道路での清掃車の駐停車
再開発の対象エリアから見て神田川を挟んだ対岸には、歴史ある赤レンガ造りの高架橋があり、JR中央線が走っている。
高架下には商業施設が入っており、多くの飲食店がある。その様子は、御茶ノ水駅から神田駅へ向かう中央線の車内からよくわかる。
また、秋葉原は外国人に人気の東京観光スポットだ。しかし、バス停が敷設されておらず、外国人観光客を乗せた観光バスは中央通りで路上駐車をしており、渋滞の原因となっている。
神田川沿いには千代田清掃事務所の建物があるが、駐車場が足りなくなっている。このため、ゴミ収集車が頻繁に前面道路で路上駐車しているのが実態だ。
さらに、狭い路地沿いには、秋葉原によくあるメイドカフェや、アダルトグッズを取扱う店舗などが入っている。
千代田区の資料には「招かざる業態」と書かれているだけで、どこまでを望ましくないと考えているのかの線引きは不明確だ。
一方で、店舗の壁面にはスプレーで落書きがされているなど「風紀の乱れを感じる光景が広がっている」と言えば、確かにそういった印象を感じる一面もあるだろう。
千代田区がまちづくりのコンセプトとして掲げているのは「神田須田町・神田淡路町界隈と秋葉原駅周辺地域を行き交う人々の懸け橋となるまちづくり」というものだ。
神田須田町・神田淡路町は、神田川の南岸側に広がっている町名で、主にオフィスビルや昭和の風情を感じさせる飲食店の建物が点在している。秋葉原とは街の印象が全く異なる。
観光客を含む多くの人がイメージする「秋葉原」は、神田川の北側を指すのではないだろうか。
一方、南岸側にある歴史ある料亭なども観光資源となる。
神田須田町・神田淡路町が持つ潜在力を最大限に活かし、神田川の両岸とその周辺を一体としたまちづくりを目指す。
具体的には、国道17号の北側にバスの乗降場を整備するとともに、オフィス・商業施設が入るビルを建設する案が持ち上がっている。ビルには、清掃事務所とゴミ収集車の駐車スペースなども整備する予定だ。
神田川沿いには広場を設けるほか、川を行き交う船の船着き場、ホテル・住宅等の建物を建設する。川沿いには人が行き交う通路を整備することで、賑わいを生む狙いがある。
また、区内唯一の葬祭場である「千代田万世会館」も新しくなる。
建物が老朽化していることに加え、敷地面積の狭さゆえに各フロア面積が狭く、利用者は建物内で3〜4フロアを移動する必要があった。利便性やバリアフリーの観点からも課題を指摘されていた。
再開発は国道17号を挟んで2つの街区に分かれている。国道の北側の敷地は「A街区」で、高層ビルが建つ見通しだ。
千代田区の資料によると、建築物の高さ制限は170メートル。主要用途は事務所・店舗・駐車場等となっている。
南側の敷地は「B街区」で、高さ制限は50メートル。主要用途は店舗・宿泊施設・集会所・駐車場等となっている。
2つのビルは遊歩道で結ばれる見込みだ。
千代田区のホームページによると、再開発の検討が始まったのは2003年12月。以来、再開発の議論は20年以上続いていることになる。
事態が動いたのは今年7月。千代田区は区の都市計画審議会に諮問し、賛成8人、反対7人で可決したのだ。
報道によると、賛成派は街の魅力や防災性の向上、清廉な街づくりを進めたいという千代田区の考え方に賛同しているようだ。
これまでも区は、区民向けの説明会を行ってきたものの、地権者からの理解を得るのはなかなか難しかった。
千代田区は再開発組合の設立に必要なだけの同意を得られたとしているが、2023年11月時点では反対している地権者がいることも事実だ。
反対派の主張は「この再開発に何のメリットがあるのか」というもの。つまり、「秋葉原らしさ」がなくなるのではないかとの懸念だ。
確かに再開発が進めば、秋葉原らしさを形成している多くの路面店がなくなってしまう可能性がある。
また、区の提案は高層ビルやオフィスビルを建てるというもので、「ステレオタイプな考え方」との批判もあるようだ。
都市計画審議会で可決されたことで、再開発の実現に向けて大きく動き出したように見える。
しかし、地権者や区民からは未だに反対意見は根強く、区がこの逆風にどう向き合っていくかが気になるところだ。
(朝霧瑛太/楽待新聞編集部)
引用元:【サブカルのまち「秋葉原」が消える? 高層ビル建設計画浮上も「反対」の声続出 |楽待不動産投資新聞 (rakumachi.jp)】
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